有限加法族
Euclid空間の「長さ」「面積」「体積」は有限加法性を持っている。
例えば2つの上に重ならない2つの正方形があった時、合計の面積はそれぞれの面積で表される。
この「面積」の一般化が有限加法的測度である。
有限加法族
有限加法的測度の前に、有限加法族の定義から入る。
これはユークリッド空間における長方形や直方体などの図形の集合を一般化したものである。
まだ「面積」は定義されていない。
定義
集合の族に対し、
- ならば
- ならば
を満たす時、 を 上の有限加法族と呼ぶ。
ここではの補集合を表す。
この定義から次の3つの性質が言える。
- ならば
- ならば
証明
- i.より なので、ii.より
- とすると1.より。
ゆえにiii.より。
さらにde Morganの法則とii.を用いると。 - とすると1.より。
よって2.より。
直積に対して有限加法族は次の定理から作ることができる。
定理
(直積)とし、をそれぞれ の有限加法族とする。
なる形の集合の有限個の直和として表されるものの全体 は有限加法族。
証明
- より、 は明らか。
- とする。
より、
。
有限加法族の定義ii.より、。
よって、 は全て(**)の形で書ける。
の定義より、これらの直和である も に属する。 - とする。 この時、 となる。 のため、これらの有限個の直和である は に属する。
- とおく。
de Morganの法則より、$$ A^c = \bigcap_{i=1}^n (E_i^c \times F_i^c) $$より、。
従って、3. より。 - とおくと、
$$ A \cup B = A + (B \backslash A) = A + (B \cap A^c) $$4. より なので、3.より。
従って、。
以上の1, 4, 5から有限加法族の性質i, ii, iiiが言えた。(証明終)
次回はこの有限加法族を用いて有限加法的測度を定義していく。
ところで&が自動エスケープされるのどうにかならんのか。